品名:開成石経 拓本
品番:TUO-30
サイズ: 49cmx25cm
価格:¥2.980 「税込」 在庫3

石経とは、宗教経典の文章を正しく伝える ために、その標準テキストを石に刻したもの であり、中国では儒教に始まって仏教・道教 においても作成された。開成石経は儒教の石 経であるが、さまざまな意味において中国の 石経を代表するものである。  中国史上、儒教の石経は確実なもので七回 作られ、開成石経は古いほうから第三番目に あたる。開成石経より古いものとして後漢の 熹平石経(2世紀)と魏の正始石経(3世紀) の二つがあり、開成石経以後のものとしては 五代・後蜀の広政石経(10世紀)、北宋の嘉 祐石経(11世紀)、南宋の紹興石経(12世紀)、 清の乾隆年間の石経(18世紀)の四つが知ら れている。これらはそれぞれ特色をもつもの であるが、残念ながら清の石経以外は多くの ものが破損・散逸し、わずかな残石や拓本に よってその全容を窺い知ることができるに過 ぎない。  その中にあって唐の開成二年(837)に完 成した開成石経は、9世紀という古い時代の ものでありながら、中国陝西省西安市の西安 碑林博物館にほぼ完全な形で現存する。唐王 朝が国家事業として制作した開成石経は、数 多い中国の石刻の中でも大・高のものの 一つであり、儒教経典の標準テキストとして 重要である(たとえば清代の著名な考証学者 である阮元の『十三経校勘記』は開成石経の テキストに依拠している)のみならず、仏 教・道教の石経にも大きな影響を与えた石経 の典型として、また唐代の字体・書体の規範 を示したものとして、中国の他のすべての石 刻史料を扱う際の座標軸の役割を果たすものである。  今回収蔵品となった開成石経拓本は良質の 原拓本であり、その全貌を遺憾なく伝えてく れるものである。すでに大谷大学には重要文 化財に指定されている「宋拓 化度寺故僧邕 禅師舎利塔銘」および「宋拓 信行禅師興教 碑」の二点をはじめとする拓本の優品が多数 所蔵されており、また中国の石刻史料・古文 書・墨書などを利用したさまざまな研究が盛 んに行われてきた。開成石経の拓本は、従来 継続的に行われてきた石刻史料の研究に新た な進展をもたらすものであるとともに、博物 館学課程などの教育面において、また大谷大 学博物館の展示において、内容のより一層の 充実を実現するものとして期待される。
開成石経拓本
〈資料紹介〉
教授 浅 見 直一郎 (東洋史〈中国中世史〉) より


開成石経 拓本  西安碑林