中国は悠久の歴史をもつ多民族の文明国である。そしてその発展と変革を最も直観的に感じさせるものは、おそらく「服飾文化」であろう。数千年の間、デザイナーたちは1代また1代と自分たちの創造力を武器に、かねてから「服装の王国」と称えられてきた中国の服飾に心血と知恵を注ぎ、元々体を隠すことを目的としていたこれまでの服装を、中華文化を構成する1つの重要な部分にまで昇華させ、この文化の独特な魅力を世界の人々にも広めている。
  7000年前の河姆渡文化遺跡で発見された骨針などの有史以前の文化遺物は、中国の服飾文化の長い歴史を雄弁に物語り、中国服ファッション・ショー「2000年中華文化、アメリカを行く・中国にアプローチ」にて展示された春秋戦国、秦・漢、魏晋南北朝と唐・宋・元・明・清の各代を代表する服飾文化の精髄からは、中華服飾が歩んできた輝かしい道のりをさかのぼってたどることができる。

  例えば、紀元前770年に始まった春秋戦国時代の服飾の特徴は次の通りだ。戦乱が絶えず諸国が独立を渇望していたこの戦国時代に、外国の侵略に抵抗して国力を強化することは、当時、各国の重要な国策であり、そうしたことから官営の手工業の工場と民間の織物業といった中華服飾業の最初の雛型および国籍と身分を区別するための多元的な服飾スタイルが出現した。

  秦・漢時代の頃(紀元前221−西暦220年) 、中国は領域的にも文字的にも統一されたが、この歴史と文明の過程を推し進めた人物とは、兵馬俑群に守られて地下に永眠している秦の始皇帝である。この始皇帝は多くの制度を設立し、その中には服飾に関するものもあった。その制度とはつまり、身にまとった服装からその人物の社会的地位と官職が識別できるというもので、現代で言うところの大統領、国務長官、閣僚などはいずれもその人の服飾から識別できるのである。

  西暦220−589年の魏晋南北朝時代の服飾は伝統的なスタイルを特徴としている。西暦265年以前の中国では戦争が頻発し、南方と北方の民族がそれぞれ移動していく中で互いの異なる文化や美学思想は融合し、人々の生活も多種多様な哲学思想から影響を受けたため、この時期の服飾文化は人を基とし、自然からアイディアを発するというデザイン理念を形成している。

盛装した唐代(A.D.618−12、 907年)の文成姫(A.D.?−13、 680年)と侍女

清代の皇帝服

漢代の薄絹をあしらった帽子

漢代の絹のドレス

春秋戦国時代の黄麻布の袍服2、 (長衣)

唐代の貴婦人の大袖羅紗衫裙

政治が開放され思想が活発になり、服装の様式も以前のどの時代よりも解放的になった唐代(西暦618−907年)は中国服装文化史において最も輝かしい1ページであると言えよう。この時期の女性の服装は変化が速く、またメッセージ性が強く、流行が人々に与えた影響の大きさも他の年代とは比べ物にならず、まさにファッションの時代、と言っても過言ではない。

  今から1000年あまり前の宋代(西暦960−1279年)の服飾はシンプルであか抜けたデザインを特徴とし、現在で言うカジュアル・ウェアーと共通するところがある。

元代(1206−1368年)は「騎馬民族」として知られる蒙古族を主とする政権であるため、この時期の服飾には蒙古族特有の性質が現れているが、漢族文化との融合に伴い、この現象も次第に変化し、派手だが素朴さをも残したスタイルが元代の服飾の基本的な特徴となっている。


  明朝(1368−1644年)が成立すると、それまでにあった服飾に関する制度に対して大規模な調整が行なわれ、以前の制度の廃止を基本として、全く新しい服飾美学思想が創立された。形式にこだわらず、自然の美を尊ぶという思想は当時の服飾文化の発展に限りない生命力を吹き込んだ。


  たおやかで美しい、というのは清朝(1616−1911)の服飾の特徴である。清朝政府が中国を統治していた200年間、世界ではイタリアのルネッサンス、コロンブスのアメリカ大陸発見など大きな変革が起こったが、これらのいずれも鎖国政策をとっていた中国の服飾文化の特殊な性質には大きな影響を及ぼすことなく、人々は依然として服飾から人の等級を判断し、依然として服飾を通して自分の生活様式を表現している。そして正にこうした“我が道を行く”的な服飾の習慣と風俗が、中華民族に重要な服飾文化遺産を遺したのだ。東洋の女性の美をもっとも余すことなく表現できると言われている中国式ワンピース「旗袍(いわゆるチャイナ・ドレス)」はその1例である。



清代及び中華民国の服装と背景



1950頃〜1980頃 の中国服装と背景


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魏晋南北朝(A.D.220−8、 589年)女性の鴉?服9、

チャイナ服・中華服飾の歴史とあゆみ




文/中国服装公司董事長兼総経理・方玉根  写真/趙 輝